非ターゲットと戦闘システム
「見えざる闇」仮説を考察するに当たって、ターゲットウインドウから名称が無くなるとターゲット不可能になる現象を見ました。ここでは、そうした現象を一般的にとらえ統一的に扱う方向で考察をしていきます。
0.非ターゲットとは…
「非ターゲット」とは『ターゲットにできない』という性質をもったキャラクター・モンスターのことを指します。見えざる闇はまさにその性質をもっており、そうしたモンスターを対象に戦闘システムを考察したいと思います。
1.戦闘終了の分類
戦闘終了時の状況を次のように分類します。1つの戦闘に対して以下のいずれかの状況にすれば、すべてのATBを停止して強制的に戦闘は終了します。
Aパターン:特定の1体のモンスターのHP(MP)を規定のHP(MP)以下にした。
Bパターン:ターゲット可能で行動可能なモンスターが全員いなくなった。
Cパターン:特定のモンスターがある行動をとった。
Dパターン:味方パーティ全員のATBが停止した。これは基本的にゲームオーバーを意味する。
具体例
Aパターン
レア王+ゼネロ+ベネロ戦。レア王の残りHP10000以下で戦闘が終了します(撃破に必要なダメージ量が188)。ゼネロ、ベネロを撃破しなくてもいいのでした。
Bパターン
通常のバトルが代表的。モンスターを撃破すれば戦闘終了です。他にも、石化やストップなどによっても戦闘を終了させることができます。
Cパターン
ベアトリクス戦。「ストックブレイク/クライムハザード」を発動するときに戦闘が終了。一定量のダメージを与えても直ぐにイベントにならないのは、「ストックブレイク/クライムハザード」は通常の攻撃として選択されることに起因。
他に、精霊バトル。要求アイテムの投与による反撃が戦闘終了の条件に当たります。
Dパターン
モンスター側の現象を味方側に捉えたもので、本質的にBと同じなので省略。
なお、Dパターン以外でゲームオーバーになる状況もありますが、特別意味がある訳でもないので省略します。
2.ターゲットウインドウの表示
ターゲットウインドウに表示される文字の色は、白、灰、赤、黄の4種類です。赤と黄は、味方側にのみ適用され、それぞれ戦闘不能、瀕死を指しています。そのとき赤文字、黄文字にカーソルを合わせることができます。これはターゲット可能であることを意味します。白は当然ターゲット可能です。灰色はどうでしょう。この色は、モンスターが戦闘不能になるときに用いられますが、そのときカーソルを合わせられません。これらのことからターゲット可能かどうかはウインドウへの表示に依存していると考えて差し支えないと思います。
これを踏まえると、ウインドウに表示されないモンスター、キャラクターを非ターゲットと定めることもできます。
3.非ターゲットはどのくらいいるのか?
実際に数えてみますとかなり特殊な戦闘で非ターゲットが現れます。
戦闘状況 | 非ターゲット | 可視・不可視 | 戦闘参加人数 |
固定戦闘 スタイナー(3回目)戦 |
ボム | 見える | 2体 |
通常戦闘 ミミック戦 |
マジックヴァイス | 見えない→見える | 4体 |
通常戦闘 エピタフ戦 |
ドッペルゲンガー | 見えない→見える | 4体 |
固定戦闘 永遠の闇戦 |
見えざる闇 | 見えない | 4体 |
通常の戦闘で非ターゲットの状況は次項以降で取り上げることにして、固定戦闘における非ターゲットのATBを考えたいと思います。
戦闘終了について、ボムは3回目の「おおきくなる」で戦闘が終了します。また、永遠の闇戦は本体を撃破すれば戦闘が終了しますから、スタイナー(3回目)戦はCパターン、永遠の闇戦はAパターンになります。
そしてATBについてですが、どちらも行動しているのが明白です。ATBは停止していないと簡単に判ります。
4.非ターゲット戦−その1
モンスター参戦バトルその1、エピタフ戦について。
エピタフに対して攻撃したりアイテムを与えたりすると、反撃「ドッペルゲンガー」を使います。エピタフは1回の戦闘で3体までドッペルを召喚します。そして、ドッペルがいなくなると次のドッペルを召喚、といったように1体ずつ召喚していきます。注目すべきは3体まで召喚できる点であり、バトルには4体までしか参加できないことに説明がつきます。予めドッペルたちは姿を消した状態でバトルに参加していると踏むのが筋というものでしょう。
では、彼らのATBについて考えてみます。召喚するときにウインドウを開いてウエイト停止しておきます。ドッペルが召喚されるとターゲットウインドウにその名称が表示されてターゲット可能になりますね。一度ウインドウを閉じてまた開いてみると直後にドッペルは行動を起こします。どうやらドッペルは出現時にはATB満タンのようです。常にこの現象が起こるので、非ターゲットの状態ではATBが停止しているだろうと推測できます。そして、召喚システムは次のような仕組みでしょう:
反撃「ドッペルゲンガー」→ドッペルのウインドウへの表示(同時に姿を現す)、ATBの始動。
この辺りはミミック戦であらためて考えてみたいと思います。
cf.”見える”と”見えない”との類似 −ガーゴイル=ドッペルゲンガー?−
アガレス戦はガーゴイルが”見える”というだけでエピタフ戦となにやら様子が似ています。というのは…、ガーゴイルは見た目全く動いてませんから、彼のATBは停止していると考えてよいでしょう。そして、アガレス反撃「起こす」によってガーゴイルのATBが動きます。さらにATBは空の状態であり、戦闘はBパターンで終了します。
ATBが満タン/空の違いはあるもののその他はエピタフ戦と同じ状況です。『ドッペルゲンガーもATB停止』とすることに信憑性がありますよね?
5.非ターゲット戦−その2
エピタフ戦で考えたことをミミック戦でも同じように考えてみます。
ミミックは戦闘開始直後に「呼ぶ」を使いますが、そのあとは反撃で「呼ぶ」を使用します。エピタフ戦のときのように最大3体までしか召喚しません。よって戦闘参加は4体と考えられます。ATBも満タンのようです。また、同じようにマジックヴァイスが非ターゲットのときはATBが停止していると予想されます。
しかし、異なる点が1つだけあり、それは召喚直後にはウインドウ表示されない点です。これは召喚システムの違いにあると思われます。
比較してみましょう:
エピタフ戦 | |
召喚システム | 反撃「ドッペルゲンガー」 → ウインドウ表示(姿現す)、ATB作動 |
召喚モンスター初行動 | 通常攻撃 |
ミミック戦 | |
召喚システム | 反撃「呼ぶ」 → ATB作動 |
召喚モンスター初行動 | 出現(ウインドウ表示、姿現す) |
非ターゲットの間はATB停止と考えると、召喚直後に行動できる点や召喚システムの説明に非常に説得力が生まれるのが分かると思います。そして『モンスター召喚=ATBの作動』と解釈できますね。エピタフ戦ではそれに伴ってウインドウ表示があるだけなのです。
なお、エピタフ戦では確実に召喚されるのに対して、ミミック戦は確実ではありません。もし、マジックヴァイスが出現する前にミミックを撃破してしまえば、戦闘が終了してしまいます。これは戦闘が終了する仕組みがBパターンであることから従います。
※ 戦闘参加人数に対する推測
3項でモンスターが非ターゲットである場合をリストアップしました。普通のモンスター×1に対して非ターゲット×3という状況が3/4も占めています。すると通常のバトルはダミーモンスターが非ターゲットとして常に参加しているような気になります。そこで、モンスターだけでなく味方パーティにも考えを拡張して仮説を立ててみました。
仮説
バトルにはダミーも含めて双方4体参加している。ここで、ダミーは非ターゲットで、そのATBは停止している。
……実際どうなっているかは分からないですよ。あと、ATBは停止している必要はありません。戦闘終了システムに支障をきたすことはないので。確たる証拠すらないのでこの仮説は証明不可能です。
6.参戦バトルとATB
非ターゲットはモンスターだけにとどまりません。参戦バトルでその様子が分かるでしょう。参戦バトルは次の通り。
戦闘状況 | 非ターゲット |
固定戦闘 プラントブレイン戦 | ブランク |
固定戦闘/3連戦 アムドゥシアス戦 | フライヤ、サラマンダー |
固定戦闘/3連戦 アバドン戦 | ジタン |
固定戦闘/3連戦 シェルタドラゴン戦 | ダガー |
味方の参戦が特徴的なので、モンスターの参戦の場合(4、5項参照)を踏まえてATB停止と考えるのは早とちりでしょう。よく考えてみると状況が全然違います。味方のATBが固定されている訳ではないですし、参戦前はイベントになります。モンスターの参戦バトルは参考にできません。
そして、必ずイベント進行で登場するので(この間はATB停止+先行入力コマンド解除)、非ターゲットである間のATBを調べるのは無理でしょう。
7.非ターゲット化の行動
今までは非ターゲットそのものを対象に考察してきました。ここでは、非ターゲットにしてしまう攻撃を対象にします。そのような攻撃についてリストアップします。
攻撃名 | 使用モンスター | 非ターゲット化の対象 |
逃走 | ヴァイス、マジックヴァイス | 自分自身 |
逃げる | ラルヴァラーヴァ、女兵 | 自分自身 |
飲み込む | ズー | 味方パーティ |
エスケープ | 黒魔道士タイプB | 自分自身 |
はないき | ヤーン、シェルタドラゴン、ティアマット | 味方パーティ |
(消滅) | ハーゲン、ワイマール、トンベリ | 自分自身 |
これらの攻撃の特徴は、姿を消し去り、ウインドウから消える効果を持っていることです。また、「はないき」のように対象が味方側である場合は行動不能になります。EXP・ギルの入手に関して、非ターゲット化を受けたモンスターからは入手不可(EXP・ギル入手は表示されているモンスターを戦闘不能にしたかどうかに依存)。また、非ターゲット化を受けた味方キャラはEXPを入手できません。
ATBについてはまったく判断がつきません。ATB停止と考えてもよいのですが、ATBは動くが行動不能になる、とも考えられます。とりわけ重要でもないのでここで止めます。
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